第14章 本音と嘘
「一体どこに行ったんだ?」
もう1週間も綾斗の姿を見ていない。
連絡も勿論繋がらないまま。
「流石におかしいよな。」
「綾斗先輩・・・次も試合見に来てくれるって約束したのに。」
もう一度家に行ってみよう。
次は1人で。
3人だと逆に警戒されたのかもしれない。
「真織、きっと綾斗は大丈夫だ。そんなくらい顔すんな。」
「うん。」
その日の終礼、何故か俺らのクラスだけアンケートを配られた。
『いじめに関するアンケート』
いじめ・・・?
内容はこのクラスでいじめを受けていた子はいるか。
いじめていたのはだれか。
など、まるでこのクラスにいじめがあっていたかのようなものだった。
綾斗の事じゃないよな?
そもそも俺らの学年でいじめなんてない。
山本さんが嫌がらせを受けていたが、それも綾斗や仁が止めていくうちに消えていった。
俺はその用紙に堂々と『いいえ』に丸をつけた。
「「はぁ?!いじめ?!」」
バスケ部の活動の見学をしに来たついでに、仁達と少し話していた。
2人とも汗を垂れ流しながら怒りの声を上げた。
「綾斗先輩がいじめなんて受けるはずないじゃないですか!そもそも受けていたら俺がボコボコに・・・もごっ」
「声がでけぇよ、松村。」
仁が周りに聞こえないように松村君の口を塞ぐ。
「まだ、綾斗の事とは決まってないけど、おそらくそうだろうな。」
「どうするんだ?真織。」
「・・・まずは綾斗に会えねぇ事には・・・なにも。」
「・・・俺らも協力出来たらいいんだけど・・・ごめん、試合近くて・・・」
「いや、いいよ。逆にごめんな。」
仁が松村君の腕を引いて練習に戻って行った。
俺は2人に手を振り、綾斗の家に行こうと駅へ向かった。