第14章 本音と嘘
真織side
綾斗とは連絡が着かなくなった。
何度も電話をしたが出ない。
メッセージも返ってこない。
朝、駅で待っていたが来なかった。
学校も欠席。
「真織。綾斗風邪か?」
「分からない。連絡がつかないんだ。」
「俺もです!いつもならすぐ返してくれるのに・・・」
仁と松村君も心配していた。
嫌な予感が頭を過る。
今まで綾斗は何度も傷つけられてきたんだ。
もしかしたら・・・もう・・・
いや、よそう。
変なことを考えたくない。
現実になりそうだ。
「仁、俺が転入してくる前も綾斗は怪我をしてくる事多かったのか?」
駅でも何度か見かけたことはあった。
「あぁ。多かったよ・・・皆虐待を疑うくらいに。けど、綾斗が傷を付けて学校に来るのは時期が決まっていたんだよ。必ず、長期休暇の前にボロボロになってくる。」
「・・・やっぱりそうか。今日、綾斗の家に行ってみる。」
「俺も行く。部活は休む。」
「俺も行きます!1日くらい休んでも平気ですよ!」
2人とも付いてきてくれることになった。
何人かで行くのは心強い。
流石に電車片道代位は出しておこう。
放課後、2人と一緒に電車に乗り、綾斗の家に向かった。
人気がない。
インターホンを押すが誰も出てこない。
出かけているのだろうか。
「風邪なら綾斗先輩家にいるはずですよね?」
「そうだな・・・待ってみるか?」
「・・・うん、待ってみる。」
誰かが帰ってくるのを家の前で待っている間、2人に綾斗の兄の事について話した。
話していいかは分からなかったが、今はそんなこと言ってられない。
「綾斗先輩にお兄さんが・・・それに酷い・・・」
「まだ確実じゃない。実際に本人から聞いたわけでも、見た訳でもない。俺の予想だ。」
「けどまぁ・・・ほぼ確だろうな。」
綾斗が無事な事を祈りたい。
「貴方達・・・家の前で何してるの?」
「綾斗のお母さん!えっと、お久しぶりです・・・その、綾斗いますか?」
「・・・今日は帰って。綾斗は今家にいないの。ごめんね。」
「家にいないって・・・どこにいるんですか?」
「言えないの。とりあえず今日は家に帰って。」
いない?
よく見たらお兄さんの姿も見えない。
「真織、今日は帰ろう。」
仁が手を引き、俺に帰るよう促した。