第13章 矢野綾斗という男
「その・・・俺・・・////」
声が震える。
告白なんて初めてだ。
「どうしたの?俯いちゃって・・・」
「・・・俺・・・今日はすごく楽しかった!ありがとうな!」
言えなかった。
いざ、綾斗の顔を見ると言葉がつっかえて上手く出ない。
これが本気の恋。
今にも心臓がはち切れそうだ。
その日はまた誘うと約束して帰った。
「綾斗は好きな人いるの?」
「・・・いるよ・・・」
好きな人いるんだ・・・
やっぱ、山本さんかな。
山本さんは綾斗の事好きみたいだったし。
綾斗の好きな人が俺だったらいいのに。
そう思っていた矢先、つい俺は綾斗にキスをしてしまい告白する形になってしまった。
綾斗も戸惑っているみたいだった。
けど、綾斗も俺の事を好きだと言ってくれた。
両思いだと知り、舞い上がっていたが綾斗は付き合う事を拒否した。
事情は色々あったみたいだが、何とか説得し無事付き合うことになった。
ただ、心残りは綾斗の身体に傷跡がある事だった。
一体いつ付いたものなのか、誰が付けたのか。
綾斗は、ずっと付きまとわれている男の人がいると言っていた。
綾斗がその男に襲われている所を助け出した時はこれでもう怖がることは無いと思っていた。
それも、あの人に再び出会った時に全て悟った。
まだ、綾斗は縛りから解放されていない。