第12章 孤独
「綾斗、パス!」
ボールが仁から回ってきてドリブルをする。
久しぶり過ぎて動きが鈍い。
「松村君!」
「は、はい!」
慌てて松村君にパスを回し、シュートを決める。
よくあんな所から入るな。
練習の成果だろうか。
別に松村君は普通にゲームに参加出来てる。
少しいつもよりは表情が暗いけど、支障はないように感じる。
休憩しようと松村君とゲームを抜け、隣同士に座り皆のゲームを見学する。
「楽しい?」
「はい。楽しいですよ。」
「どうして部活に出ないの?」
こんな事聞かれるのは嫌かな。
余計なお世話かもしれない。
「・・・俺、あんまりチームで、とか苦手で。」
「でも今は楽しいでしょ?」
「バスケは楽しいですよ。でも、俺のせいで足引っ張るんじゃないかって思って。」
「全然そんなことないよ!寧ろ凄いと思うけど。シュート決めてたし。」
「実は中学の時に少しだけバスケ部に入ってたんです。でも、ある試合の途中でメンバーに怪我させちゃって。それでその試合負けたんです。その怪我させてしまった子がその時のエースで、かなり上手かったんです。その怪我が無かったら勝ってたかもしれなかったのに俺のせいで負けて、その日からメンバーの顔見れなくて。そんなことでって思うかもしれませんが、俺にとっては辞めるほどきつくて。それに、それだけじゃなかったんです。何度もチームの足引っ張って負ける事多かったんです。流石に周りの皆も俺に冷たい視線を向けるようになって。それからは苦手になっちゃって。」
松村君の意外な一面だ。
前向きな子だと思ってた。
「でも実際に今そんな事起きてないよ?・・・大丈夫、きっとそれは偶然が重なっただけ。・・・部活行ってみよう?ね?」