第12章 孤独
「あ!そう言えば試合っていつなの?」
「再来週の土曜。試合って言っても練習試合だけど、それで全国大会の予選メンバーが決まる。」
「結構大事な試合なんだね。じゃあ、その試合に出るメンバーがレギュラー入り確定?」
「ほとんどがそうだ。」
2、3年がいるからやっぱり1年生でレギュラー入りするのは難しいんだろうか。
仁は1年生の時からレギュラー入りしてるって聞いた。
松村君の実力は部活に行ってないから誰も分からない。
だから、部活に行って欲しいっていうのが事実なんだけど。
「松村君、試合見に行くね。」
「はい!頑張ります!」
「・・・俺は別に興味は無いけど、綾斗の大事な後輩だし・・・頑張れ。」
「柊先輩・・・うちのクラスに先輩の連絡先知りたがってる女子居るんで教えていいですか?」
何でそうなるの?
けど、よく見ると耳が赤くなってる。
本当は嬉しいんだ。
さっきの仁に「気持ち悪い」って言ったのも照れ隠しなのかもしれない。
「じゃあ、明日の昼休みに体育館集合な。松村、お前もな。」
松村君は「はい」っと答え、食べ終えた弁当を持って立ち上がった。
少し緊張しているのかいつもより表情が硬い。
僕はその場から離れた松村君を追いかけようと立ち上がった。
「綾斗?どこにいくの?」
真織に腕を捕まれ止められる。
今日は松村君にばっかり引っ付かれていたから少し妬いたかな。
これ以上は止めておこう。
きっと松村君は大丈夫だ。
「ううん、なんでもない。そろそろ教室戻ろうか。」
「うん。」