第12章 孤独
「ふふん♪綾斗先輩の匂い♪」
「近いよ・・・」
いつものメンバーで昼食を取る。
松村くんは久しぶりに僕に会えたのが嬉しいのか引っ付いて離れない。
真織は頑張って耐えようとしている。
「ほら、お土産買ってきたから、食べて。」
「はい!頂きます!」
一応、修学旅行中は写真も送ってメールもしたんだけどな・・・
「松村、これ俺からのお土産。」
仁が小さい紙袋を松村くんに渡す。
お菓子じゃないな。
この大きさからするとキーホルダーとか?
アクセサリー?
「え?他の部員には渡さないんですか?どうせ今日部活ありますよね?」
「うーん・・・お前は・・・なんて言うか特別?」
「部長・・・」
あれ、これってもしかして・・・
仁・・・松村君のこと・・・
す・・・
「気持ち悪いです。」
「はぁ!?そもそもお前部活来ねぇだろ!?・・・それに、こうやって普段一緒に飯食ってんだから・・・他の後輩とは違うって思ったからだよ。」
なわけないか・・・
にしても松村君どストレート。
松村君が首を傾げ、袋をそっと開ける。
中から出てきたのはお守り。
「これ、お守り・・・ですか?」
「あぁ。次の試合レギュラーメンバーに入りたいんだろ?・・・少しでも努力が実るように。」
「・・・努力って・・・」
「シュート練。公園でしてるだろ?」
「・・・やっぱ部長気持ち悪いです。」
「・・・そーかよ。」
松村君、部活には行かないのに練習はしてるんだ。
でもどうしてだろう。
チームでするのとは全然違うと思うのに。
・・・そうだ!
「ね!仁!前みたいに昼休みにまた賭けしない!?バスケで!」
「いいけど・・・お前また転けるんじゃねぇの?」
「うっ・・・でも、また皆でしたいし・・・松村君も一緒にさ!」
「え!?俺もですか?!」
「勿論だよ、一緒に昼ご飯食べてる仲でしょ?」
「いいですけど・・・」
少しでも松村君の練習になればいいかな。
やっぱり1人でやるのとは違うって知ってもらいたいし。
余計なお世話かもしれないけど、努力してるんだから報われて欲しい。
前までは他人のことなんてどうでもよかったはずなのに。
最近は何故か関与してしまう。
これも真織と出会ってから変わった。
大切な友人が出来てわかった。