第11章 約束したから
うぅ・・・おも・・・
先生に頼まれ、準備室に資料を運ぶことになった。
段ボールいっぱいに入っている。
一体なんの資料だろう。
早く運んで、真織と帰ろう。
「ねぇ、聞いてるの?」
「うっ・・・」
なんだろう。
奥から声が聞こえる。
けど、準備室の奥は使われていない階段があったはず。
それが分かるように明かりも着いていない。
僕は荷物を持ったままコソッと影から覗いてみた。
人影が4つ。
見た事ない人達だ。
よく見ると囲まれているのはあかりさんだ。
困っている。
「ちょっと可愛いからって・・・調子乗りすぎ。」
「何も出来ないくせに。」
「ごめんなさい・・・」
・・・嫌がらせ?
女の子って影で皆こんななの?
あかりさんが可哀想だ。
助けた方がいいよね?
でも下手に声掛けたら・・・
「綾斗くんも迷惑してるよ、きっと。」
どうして僕の名前が・・・
迷惑?
「これ以上、関わらないで。」
「・・・はい・・・」
何か好き勝手言われてる?
僕はいつの間にか4人の前に飛び出ていた。
「別に迷惑とか思ってないよ。あかりさん。」
「綾斗くん?!」
「え、どうして綾斗くんがここに?」
先程とは打って変わって、声色を変えてきた。
何となく、この状況が読めた。
「勝手に出てきて申し訳ないけど、あかりさんは何も迷惑かけるようなことしてないよ。あと、僕の事好き勝手言わないで。」
「うっ・・・」
場が悪そうに3人は後ずさる。
「それに、1人に対して3人は無いんじゃないかな?」
「・・・い、行こう・・・」
「うん。」
気まずくなったのか3人は逃げていった。
初めての経験だからか、一気に気が抜けた。
忘れていた荷物の重さも今になって思い出す。
「はぁ・・・怖かった・・・あかりさん、大丈夫?」
「う、うん・・・ありがとう。」
「・・・いつもこういう事あるの?」
「頻繁にじゃないけど・・・たまに。でも綾斗くんが助けてくれたからもう平気。」
「そっか。」
僕は荷物を持ち直し、再び準備室に向かった。
あかりさんも手伝ってくれた。