第11章 約束したから
「お前、なんでバスケ部入ったんだ?」
「綾斗先輩にかっこいいって思って貰えるかなって。」
「松村・・・お前綾斗は・・・」
仁が「知ってるのか?」と目で僕達に語りかけてきた。
僕達は仁に黙って頷いた。
「じゃあ、どうして・・・」
「俺、綾斗先輩に振られましたけど、まだ諦めてないんで。柊先輩。」
その言葉を聞いて、真織が額に血管をうかべた。
顔は笑ってるけど、怒っている。
「松村、あまりにも執拗いと嫌われるって知ってるか?」
聞いたことない様な低い声を出す。
僕に抱きついている松村君を、真織が無理やり引き剥がし、自分の方に抱き寄せる。
「執拗いって酷い言い方ですね。せめて一途って言ってくださいよ。」
次は松村君が僕の手を引く。
引っ張りだこ状態だ。
流石に心配になった仁が松村君にゲンコツを落とした。
痛そうに両手で頭を押さえている。
「うぅ・・・部長・・・酷いですよ!」
「いい加減にしろ。」
僕はやっと松村君の手から離れ自由になる。
左手はがっちりと真織にホールドされている。
「俺は諦めませんからね!絶対に!」
「はいはい。分かったから。・・・お前、今日は部活来いよ?」
「・・・はい。」
「なんだその間は。はぁ、じゃあ、今日部活来たらこの写真やるよ。」
そう言って仁が取りだした写真には僕が写っていた。
クリスマスに女装した写真だ。
「なんですか!?え、綾斗先輩!?可愛い!!」
「仁!なんでその写真!////」
「約束だ。今日は部活に来い。」
「行きます!」
「悪い、柊、綾斗。」
「う、うぅ・・・いいけど・・・それが最後にしてよ?」
「嫌だけど・・・俺には本物の綾斗がいるからいい。」
「よかった。」
やっぱり少し嫉妬してる?