第2章 柊真織という男
やっと1日が終わった・・・。
普段より何倍も長く感じた。
「さようならー。」
挨拶をして帰宅する生徒もいれば、部活に走って向かう生徒もいる。
僕はもちろん前者。
早く帰ってこの緊張を今すぐ解きたい。
柊の所為で僕は死にそうだった。
近いし、無駄に声がいいし。
それから優しい。
荷物を持って教室を出る。
「あ、綾斗!待てよ!」
「なに?」
「一緒に帰ろうぜ!」
「・・・え、やだよ。」
早く1人にさせてくれ。
「けどよ、俺達同じ駅だろ?」
「は!?なんで知って・・・じゃなくて・・・そうなの?」
危ない。
僕も知ってるってバレるところだった。
「そうなの!だからいいだろ?」
「・・・返事聞く前に既に付いて来てるじゃん////」
「確かに(笑)」
あーもう!
僕何言ってんの・・・
断ればいいのに・・・
「綾斗はさ、兄弟とかいるの?」
「・・・いるよ。」
「へー!兄貴?」
「そんな感じ。」
「いいなー。俺も兄弟欲しかったー。」
「柊は・・・」
「真緒でいいよ。」
「柊は1人なんだ?」
「スルーした?・・・そう1人。寂しくてさ(笑)」
駅に着くまで電車の中でも柊は話が途絶えなかった。
内容も面白い。
話上手だと思う。
「着いたなー。綾斗はどっちなの?」
「僕は裏の改札から出る。じゃあね。」
「おう!気をつけろよ!」
「大丈夫だよ、僕男だし。」
「男だからって関係ねぇよ。綾斗は可愛いから。じゃあ明日な!」
「うん。また・・・え////」
かわっ・・・?!
今可愛いって言った!?
それってどういう意味で・・・
柊と離れたにも関わらず、僕の緊張はその言葉のせいで止まらなかった。