第2章 柊真織という男
ホームルームが終わり、僕が1時間目の授業の準備をしている横で柊真織は男女に囲まれていた。
「柊!お前どこから来たの?」
「部活とか何してたの?」
「彼女とかいんの?(笑)」
皆質問攻め。
すっかり人気者だ。
確かに話しかけやすいタイプの人間だ。
顔もイケメンだし・・・。
「え、えーと・・・あはは(汗)」
助けを求めてるかのように僕を横目でチラチラと見る。
生憎、僕はこのクラスに馴染めてないもんで。
急に声をかけたりしたら、変な目で見られる。
「ほら、皆席に着いてー。」
英語の教師が入ってくる。
よかったな、柊。
「なぁ、綾斗。」
「何?」
「教科書見せてくんない?まだ教材揃ってなくてさ。」
えー!?
何その恋愛ストーリー展開!?
無理無理無理!
絶対無理!
ただでさえこの距離でも心臓爆発しそうなのに、これ以上机をくっつけて同じ教科書覗くとか・・・
死んじゃう・・・
「えーと・・・隣の人に借りたら?」
「隣?綾斗じゃん?」
「いや、だから反対側。」
「・・・綾斗がいいの。」
「へ!?////」
な、なななに!?
なんで!?
おかしくない!?
「嫌・・・なのか?」
「わ、分かったよ!もう!////」
なんなんだよ!
絶対自分の顔分かってる!
分かってやってる!
「やった!ありがとう!」
「いいよ・・・」
まだ出会って20分も経ってないのに僕の心臓は破裂寸前だ。