第9章 影
「疲れたな・・・」
特に精神的に。
自分でもストレスが溜まってるのが分かる。
やっぱり警察に言った方がいいのかな?
でも、話を聞いてくれるか・・・
「ん?なにこれ。」
机の上には身に覚えの無い封筒。
中を見てはいけない気がする。
きっとまた写真だ。
今日はこれで2回目だ。
見たくない。
でも見ないといけない気がした。
ピロン
携帯から着信音がなり確認すると、母さんからのメッセージだった。
『今日、急遽実家に帰らないと行けなくなったから1日家を空けます。ごめんね。』
おじいちゃんの体調がまた悪くなったのかな。
僕もそろそろお見舞いに行かないと。
母さんと父さん居ないのか。
柊に連絡しようかな。
ガタッ
クローゼットの方から物音がした。
誰もいないはずなのに。
気のせい?
少し怖くなって後退りをすると封筒に手が触れて中身が出てきてしまった。
やっぱり写真だ。
でも、いつもと違う。
この写真、僕の部屋だ。
僕が寝ている写真もある。
かなり至近距離の写真も。
気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い。
この角度・・・クローゼットだ・・・
さっき物音がしたのも。
もしかして今いるの?
僕は怖くなって柊に電話をかけていた。
「はぁはぁ・・・柊・・・出て・・・お願い。」
クローゼットを警戒しながら電話をかける。
中々繋がらない。
まだ家に着いていないのか。
「お願い・・・」
ガタッ
「ひっ・・・やだ・・・怖い・・・」
「もしもし?綾斗?どうした?」
「ひ、いらぎ・・・誰かいる・・・部屋にいる・・・」
「両親は?」
「今日急用ができて実家に帰ってるって・・・柊・・・どうしよ・・・」
恐怖で上手く話せない。
声が震える。
腰も抜けて動けない。
「綾斗、今すぐ家を出るんだ。俺も急いでそっちに向かう。」
「う、ごけない・・・腰が・・・助けて!」
そう叫んだ時、クローゼットが勢いよく開いた。
そこには知らない男の人が立っていた。
いや、どこかで見たことある・・・
でも・・・だれ・・・
「い、いや・・・助けて・・・」
「綾斗!」
その男の人は恐怖で動けない僕に近づいて携帯を奪った。
柊との電話を切られる。
「ダメだよ・・・綾斗くん・・・」
「ごめ、な・・・さい・・・」
誰か・・・助けて・・・っ!