第9章 影
「綾斗、全部剥がしてきた。・・・なんだよあれ・・・」
「ありがとう。たぶん、ずっと僕をつけてきてるんだ。」
怖い。
全部見られてる。
「今日も泊まろうか?」
「ううん、それは申し訳ないから大丈夫。」
実際に家の中で被害は受けた事ない。
写真が送られてきたり、物が取られたり。
それだけだ。
「教室に戻らないと。」
「立てるか?」
「うん。」
ストレスなのか、頭も痛くなってきた。
考えすぎかな。
これから先もずっと続くのかな?
柊も危ない。
もしかしたら殺されるかもしれない。
あくまで可能性だけど・・・
犯人は柊の顔を塗りつぶしていた。
そんなことするなんて・・・憎んでるとしか考えられない。
あまり、一緒にいない方がいいのかな。
落ち着くまで。
一日中考え事ばかりして、授業にも集中出来なかった。
「ねぇ、柊。」
『少し距離を置かない?』
そう言おうとして止めた。
本当にいいのかな?
逆効果だったら?
犯人がチャンスだと見て僕を襲ってきたら?
でも、柊が襲われるよりは・・・
「どうした?」
「う、ううん!いつもありがとう。じゃあ、また。」
「おう。何かあったらすぐ連絡くれよ。」
「今日は母さん達が居るから大丈夫だよ。」
家に入ると母さんのいつもの「おかえり」という声が聞こえなかった。
おかしいな。
買い物にでも言っているのだろうか。
リビングを一通り見渡して、自室に戻った。