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【R18】初恋を君に

第9章 影


これからどうしよう。
この状況がずっと続くのが良くないのは分かってる。
でも警察に相談したとしても話を聞いてくれそうにない。
母さんにも心配かけるし。

「ブクブク・・・」

湯船に浸かり考えていた。
逆上せたな。
そろそろ上がろう。
浴室から出て身体を拭く。
鏡に映る自分の顔を見ると、先程泣いたからか目が腫れていた。

「ぶっさ・・・」

あまりにも酷すぎて思わず呟いてしまった。

「綾ちゃん?いつまで入ってるの?」

「もう上がったよ。」

母さんが心配して覗いてきた。

「柊くんの布団、もう部屋に入れておいたから。」

「うん、ありがとう。」

急いで部屋着に着替え、自室に戻る。

「ただいまー。」

「おう。おかえり。」

僕宛てに送られてきた手紙と写真を見て、顔を顰めている。
怒ってる?
まぁ、自分も写真に写ってるから怒るよね。
兄さんの知り合いが写ってるの見せなくてよかった。

「柊、もう平気だから。」

「・・・これからは毎朝迎えくるから。帰りだけじゃなくて。」

「いいよ、そんな。遠回りでしょ。」

「俺がそうしたいから。」

やっぱり柊にも迷惑かけちゃってる。
僕一人でどうにかしないと。
これ以上関わらせたくない。

「平気だって・・・危害はなんも無いし。」

「本当か?」

写真から顔を上げ、僕の目を真っ直ぐ見る。

「本当は辛いんじゃないのか?本当のこと言ってくれ。」

「大丈夫だって!」

拳を握り締め「助けて」という言葉を飲み込む。
甘えちゃダメだ。
耐えなきゃ。

「もっと俺を頼ってくれ。恋人だろ?」

柊が僕を抱きしめ耳元で囁く。

「ここ数日、気づいてやれなくてごめん。ちゃんと助けになってみせるから。本当のことを言ってくれ。甘えていいんだぞ。」

「うっ・・・」

駄目だって分かってるのに。
絶対巻き込んじゃ良くない事が起こるに決まってるのに。
でも・・・これ以上辛い思いしたくない。

「・・・けて・・・」

ごめんね、柊。

「助けてっ・・・ひいらぎ・・・」

先程泣いたばかりで涙も出ないはずなのに、まだ溢れ出てきていた。
自分でも余裕がなかった事を知った。
こんなに僕は辛かったんだ。
いざ、言葉にすると気持ちは止まらなかった。

「任せろ。絶対に助けてみせる。」
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