第9章 影
「お風呂ありがとう。次入るよな?」
「うん・・・って服着なよ////」
母さんの許可が降り、柊を泊める事になった。
下は部屋着だが、上は裸のままだ。
「へー、まだ慣れない?(笑)」
僕を後ろから抱き締める。
僕と同じシャンプーの匂い。
「あれから何回かしたけど・・・?」
「う、うるさい・・・てか、なにしれっと大きくしてんの。」
「興奮してるから。だって綾斗と同じ匂い。」
「今日はしないからね。」
「わかってるって・・・」
お風呂に入ろうと荷物をまとめて部屋を出る為ドアノブに手をかける。
「綾ちゃん。丁度よかった。何か届いたわよ?」
そう言って母さんが渡してきたのは少し大きめの包み。
発送元は書かれてないが、確かに僕宛ての物だ。
何も頼んだ覚えはない。
お風呂に行く前に見ておこうと、部屋に1度戻り開けてみることにした。
「ん?なんだ、それ。」
「分かんない。僕宛てに届いたみたいだけど・・・ん?」
1枚の手紙がはらりと落ちた。
見た事のある字体。
『たのしかったよ。』
ただその一言だけ。
間違いない、この字体。
写真送ってくる人と同じ。
「どういうことだ?」
柊が手紙を取り、頭の上にハテナを浮かべている。
僕は恐る恐る包みを開ける。
するとそこには、今まで僕が無くした物ばっかりが入っていた。
「は?・・・え、これ・・・全部・・・」
柊が驚いている中、僕は柊から貰ったマフラーを見つけた。
慌てて手に取り広げてみる。
「っ!!」
マフラーはズタボロになっていた。
何かで引き裂いたような跡。
酷い・・・
「なんだよこれ・・・」
「そんな・・・誰がこんな・・・うっ・・・」
気分が悪くなり、トイレに駆け込む。
訳が分からない。
なんのために・・・
僕の大事なマフラーまで・・・
「うっ・・・ぐ・・・」
「大丈夫か!?」
「う、うん・・・ごめ・・・せっかく・・・もらったのに・・・うっ・・・」
悔しさと申し訳なさで涙が溢れ出る。
そんな僕を柊は背中を撫でてくれる。
「綾斗は悪くない。また買ってやるって。」
「ごめ・・・ごめんね。」