第8章 嫉妬と愛情
僕は山本さんに謝り、席を外してもらった。
初めは困った顔をしていた。
また違う日に時間を作れるか聞いたら嬉しそうな顔に戻った。
彼女の前ではこんなこと話せない。
柊の方を向き直すと少し不機嫌そうにそっぽ向いていた。
こんな顔は始めて見るかもしれない。
どうして柊の方が不機嫌になってるのか謎だ。
不機嫌になるのは僕の方なのに。
もしかして・・・嫉妬?
今の柊は嫉妬してる?
「あのさ・・・どうして不機嫌なわけ?」
「いや・・・わかんない・・・」
どうやら自分では分かっていないらしい。
嫉妬という言葉を知らないのか?
「・・・僕、正直嫉妬してる。イライラしてる。」
「どうして?俺何かしたか?」
「本気で言ってる?」
やっぱり無自覚だったんだ。
流石に無いと思ってたんだけどな。
ここまで来ると先が思いやられる。
「今日、バレンタインだよね?意味わかってる?そのチョコ。」
ここまで言えば察しは付くだろう。
小学生でも分かる。
「・・・好きな人に渡すんだろ?それがどうした・・・あ・・・」
やっと理解出来たのか、頭を抱えている。
自分の行動に後悔している様子だ。
「普通恋人が隣にいて貰う?しかも笑顔で。・・・断れとは言わないけど流石に何度も目の前でそんな事されたら嫉妬すると思わない?」
「・・・ごめん。」
「僕も一応覚悟はしてきてたんだよ。でも想像以上過ぎて耐えられなかった。」
「本当にごめん。」
柊は何度も謝った。
かなり落ち込んでる。
本気で反省しているようだ。
「過ぎたことは仕方ないよ。僕も今話したことで少しスッキリしたから。」
「よかった。」
それよりあの量のチョコどうするんだ?
全部食べるのか?
それはそれでまた嫌だな。