第8章 嫉妬と愛情
その後も柊は先輩からも呼び出されチョコを貰っていた。
まるで人気アイドルだ。
柊のチョコが増えていく度にイライラする。
「はぁ・・・なんか疲れた。」
「そりゃあ、そんだけチョコ貰えば疲れるよ。」
「綾斗さ、なんか怒ってる?」
昼休みに2人で昼食を取りながら過ごす。
全部食べ切れるのか分からないチョコの山を横に置き、ご飯をちまちまと食べ僕の顔を覗き込んできた。
「別に。怒ってなんかない。」
「じゃあ、なんでそんな冷たいの。」
どうしてわかんないわけ?
普通ここまで来たら分かるよね。
「はぁ、ごめん、食欲無いから教室戻るね。」
「え、ちょっと待てよ。」
柊が僕の手を掴み引き止める。
力が入っていて少し痛い。
「なに?」
「やっぱ怒ってるだろ?」
「・・・知らない。」
それだけ言って僕は手を振り解こうと腕を引っ張った。
けど、中々離れない。
柊の目は真剣だ。
と言うか、少し怒ってる気がする。
「綾斗、正直に話して。」
「痛いから離して。」
「やだ。」
どんどん力が強くなってくる。
結構痛い。
血が止まりそうだ。
「ね・・・いたい・・・から・・・」
「っ、ごめん。」
はぁ、とため息を付き、正直に話そうと体の向きを変え口を開いた。
「あのさ・・・」
「や、矢野綾斗くん!////」
横から声をかけられた。
どこかで見た事ある女の子・・・
黒髪で目がパッチリしてる。
可愛い子。
あ・・・確か柊の好きな人が誰か探しに行った時、声をかけてきた子だ。
あの時は柊がこの子の事好きだと思ってたんだっけ?
名前は確か・・・
「えっと・・・山本さん・・・だっけ?」
「う、うん!その・・・今時間あるかな?」
「いいけど・・・」
「綾斗!今は!」
柊がまた腕を掴んで引き止めてくる。
「別に少し席外れるだけでしょ?」
「そうだけど・・・」
柊が困ったように眉を下げている。
「すぐ戻ってくるから。」
「・・・やだ・・・」
「え・・・」
山本さんも驚いて目を丸くしている。
「嫌だ。」
「な・・・////」
あーもう!!
何その顔!!
捨てられた子犬みたいだ・・・