第8章 嫉妬と愛情
「チャイム鳴ってるぞー。席に着けー。」
先生が教室に入ってきて教卓の前に立つ。
柊の机を見て驚いている。
「柊・・・お前それ全部自分のか?」
「はい、ロッカーに収まらなくて・・・」
「あー・・・後で紙袋渡すからそれに入れて横に置いとけ。」
「ありがとうございます。」
うちの学校は別にチョコは禁止にしてないから怒られることは無い。
けど、さすがにあの状況じゃ授業の邪魔だ。
「ねぇ、矢野くん。柊君って恋人居るんじゃなかったけ?」
隣の席の日野さんがコソコソと尋ねてきた。
そういえば、日野さんって柊にチョコ渡してなかったな。
「さぁ、居るって聞いたけど。」
「柊君の彼女も大変ね。」
「日野さんはチョコ渡さなかったの?」
そう尋ねたら日野さんは顔を真っ赤にして、うーん柊君には彼女がいるし・・・っとモジモジしていた。
好きな人でも居るのだろうか。
「その・・・作っては居るんだけど、迷惑かなって・・・」
「そんな事ないよ、折角作ったんだから渡したら?」
「うーん・・・じゃあ、はい。」
そう言って僕に小包を渡してきた。
もしかしてチョコ?
「矢野君に作ってきたんだ////」
「ぼ、僕!?」
うわ、どうしよ。
けど、気持ちはありがたいし。
・・・柊だっていっぱい貰ってたからいいよね。
僕だけなんて不公平だ。
「ありがとう。帰って食べるね。」
笑顔でお礼を言う。
けど、正直内心複雑だ。
柊、見てるかな?
「おい、そこ、イチャイチャするな。」
先生に注意される。
別にイチャイチャじゃない。
周りからはヒューヒューと口笛を鳴らされる。
違うのに。
日野さんが顔を赤らめている横で僕はため息をついた。
お返ししなきゃだよね。
でもお返しって告白にOKしたってことになるんだっけ?
折角作ってくれたのに返さないのもなー。
返す時に話せばいいかな。