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海で生まれた物語 【ONE PIECE】

第2章 廃れた島





その机の上には、細長い形をした白い箱があった。


ローはそれを手に取りベッドに腰掛けると、ゆっくりと箱を開く。


__中には記念コインがきれいに整頓されて並べられていた。
手前の方の記念コインは比較的新しいように見えるが、奥のコインは錆びている部分もあったりと、かなり古いようだった。

ローはその一番奥のコインを手に取ると、何かを思い出すかのようにじっとそれを見つめた。

そして懐かしさに目を細めると、おもむろに呟いた。



「コラさん、俺が自由になるときは、あんたの本懐を遂げたときだ...」



ローはもう一度そのコインを見つめてから、元あった白い箱へ戻し、ぱたんと蓋を閉じた。


"コラさん"

ローが呟いたその人は、ローにとって何よりも大切な恩人で、『心』を貰った人だった。





___美しく栄えた白い街フレバンスで、医者の両親のもとに生まれたローは、妹のラミとともに幸せな人生を送っていた。

しかし、その幸せは世界政府の手によって握りつぶされることとなる。


フレバンスはもともと珀鉛産業で栄えていた。その珀鉛には掘り起こさなければほとんど害のない、微量な毒が含まれていた。
政府はフレバンスの地質調査の際、すでにその毒の存在に気づいていたが、目先の巨万の富に目がくらみ、国民にその毒の存在をひた隠しにして永遠と珀鉛を掘らせたのだ。

その毒の恐ろしいところは、次世代へ寿命を縮める悪影響を及ぼすことである。子から子へと蓄積された珀鉛の毒は継がれ、大人になる前に死んでしまう子どもたちが大勢生まれてきたのだ。
ローもその一人であった。


国民が珀鉛の危険性に気づいたときにはもう遅く、フレバンスの人間は髪が白くなり、体中に激しい痛みを伴う白い斑点ができるようになっていた。
人々はそれを珀鉛病と呼んで恐れたが、医者にもそれは止められず、大勢の国民が亡くなった。

近隣諸国は珀鉛病を伝染病だと決めつけ、政府もそれを否定せず、そして最後にはフレバンス国民を諸外国・政府の連合軍で皆殺しにしたのだった。



__ローはフレバンスの唯一の生き残り。
ローの珀鉛病は彼の悪魔の実の能力、オペオペの実の力で治した。


生き延びる力をローに与えたオペオペの実は、"コラさん"によって、与えられたものでもあったのだ。
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