第2章 廃れた島
そんな海の深い場所___
太陽の光が届かない深海で、黄色い船体が煌々と暗闇に明かりを放っていた。
ドクロマークとDEATHの文字、颯爽と深海を進んでいく潜水艦は、海賊船である。
「キャプテーン!もうすぐ浮上できそうだよ!」
「海上も問題なさそうッス」
クルーの声を聞き、ゆっくりと腰を上げるこの船の船長。
愛刀『鬼哭』を手に、入り組んだ船内を歩いていく。
「...よしお前ら、深度調整しながら浮上しろ。ベポ、海図も準備しておけ」
「アイアイ!キャプテン!」
船長の指示一つで潜水艦は進行方向を上に向け、エンジン音を海中に響かせながら、一気に海上へ上がる。
ザパーンという水しぶきとともに、黄色い船体が姿を表した。
すると甲板のドアが勢いよく開かれ、中からオレンジ色のつなぎを着た白クマが駆け出してきた。その左胸には、潜水艦にあるドクロと同じマークがある。
「外だ〜!久しぶりの!」
ぐぐっと伸びをしながら、外気を胸いっぱいに吸い込んでいるのは、この船の航海士ベポ。
白クマのミンク族でカンフーを嗜んでおり、戦闘要員としても活躍する。
「おいベポ、外出る前に敵船の確認しろって毎回言ってるだろ!一番に飛び出しやがって」
「スイマセン...」
ただ、打たれ弱い一面もあるのだ。
一方、呆れた風にベポに話しかけたこの男、深くかぶった緑のキャスケット帽にさらにサングラスをかけ、色違いの白いつなぎを着ている。そのつなぎにも、やはりドクロのマーク。
彼もこの一味の一員で、名前をシャチ。戦闘要員である。
「いやぁ〜でもやっぱ外は気持ちいいな!」
PENGUINと書かれた帽子を目深にかぶる彼も、シャチやベポと同じくこの海賊団のクルーだ。
帽子の通り、名前をペンギンといい、この船では戦闘員兼操舵手を務める。
「しかしベポ、何週間ぶりだ?今回はかなり長い期間潜ってたよな〜」
「食料も補充しておいたほうが良さそうだね。この風と波の速さなら、あと2日もかからずバンディド島につけそうだよ!」
「あぁ〜可愛い子とかいねぇかな〜」
そんな会話をする自身のクルーを、甲板のドアによりかかりながら眺めるこの男。
彼こそがこの船のキャプテン、トラファルガー・ロー__