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海で生まれた物語 【ONE PIECE】

第3章 波の音が聞こえる




「あのっ...一体どこから...」


聞き慣れないアルマの声に一同がパッと振り返る。しばらく静止してから、一同あんぐりと口を開けた。


「え!?仙人じゃねぇの?」


「女の子じゃん!?めっちゃ女の子じゃないっすか!!」


「思ってたのと違う...」


それぞれ勝手にあれこれと叫んだ。だが、それも仕方ない。誰も仙人が容姿の整った少女だとは思わないだろう。


「キャプテン!どういうことっすか?」


焦ったような顔でシャチがローを振り向く。


「見ての通りだ。仙人って通り名を知ってんなら、お前らも人から、こいつが決して顔を出さないことも聞いたんだろ?」


「そっすけど...」


「顔の見えない得体の知れないやつだ。誰かがそう呼び出して、広まってったんだろ」


納得しかねるような微妙な表情で、シャチ、ペンギン、ベポはアルマをまじまじと見た。不自然なイメージを持たれてしまっただろうかと、アルマはうつむく。


「すいません...あの私...」


「いやー!びっくりしたけど仙人ってこんな可愛い子かよ!」


「え...?」


パッと顔を明るくさせて、3人が駆け寄った。彼らの顔にもう疑いの目はない。
船長に絶大な信頼があることは周知のこと。ローが警戒していないことから、この人物は安全だ、と全員が判断したのだ。しかしそんなことなど知らないアルマは、どうしたものかと狼狽える。


「そうだ、自己紹介しなきゃだよな!俺たちはハートの海賊団のクルー。死の外科医、トラファルガー・ローの仲間だ!」


ペンギンがどーんと胸を張って言った。
ローの仲間であること事態に、大きな誇りを持っているハートの海賊団。ペンギンたちがローを強く信頼しているのは、会って間もないアルマですら察することができた。


「俺がペンギンで、こいつがシャチ。で、その横の白クマがベポだ」


「アイアイ!よろしく!」


ベポは元気よく挨拶するが実は、驚かれてしまうのではないかと不安に思っていた。
ミンク族は世界にとても少ない種族で、非常に珍しく、彼らの存在を知らない人間のほうが多い。「喋る白クマ」と揶揄されて馬鹿にされたり、驚かれたりしてきた。
もうそんな反応には慣れっ子になっていたが、やはり目の前でそうされると傷つくのは自分でも分かっていた。

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