第8章 復讐
「姫月は、いつもどんな風にあいつに可愛がられてんの?」
「え」
「学校でもせんせーといけないことしてたの、俺知ってんだ」
「霧生、くん…………、ぁの」
頭の中で鳴り響く警告音。
逃げようと、腰を浮かすけど。両手が動かない。
足がシーツに絡まって、滑る。
「逃げらんねぇよ」
嘲笑して、霧生くんがあたしを跨ぐように。
体重を、掛けた。
それから。
「!?」
唇が、重なった。
慌てて顔をそらして口付けから逃げても。
「だから、逃げらんねぇ、って」
顎を右手で強引に掴まれて、また乱暴に唇が重なる。
舌先が入り込もうとした瞬間、せめてもの抵抗に唇をぎゅっと噛み締めるけど。
親指が強引に、口をこじ開ける。
入ってきた親指に思い切り歯を立てても、お構いなしに入ってくる舌先は、口の中を暴れ回り強引に、舌先に絡んでくる。
やだ。
やだやだ。
薔さま…………っ。
「…………ほんと、すぐ泣くね姫月」
なんとか口付けから解放されたところで。
状況は変わらない。
両手が捕まってる以上身動きなんて取れないし。
一束掬われた髪の毛に口付けする霧生くんを、振り払うことすら出来ない。
悔しくて。
薔さま以外と口付けしてしまった事実が悲しくて。
涙が止まらない。
「悲しくなる暇なんてないくらい、気持ちよくしてあげるから」
ビクン
霧生くんの手のひらが胸に触れて。
形を変える。
焦らすように、わざと服の上から胸の頂きに、触れてていく。
「っ」
「感じる?」
「…………て、ません…………っ」
「そ?なら、続けるね?」
笑顔。
いつもの、あたしの知ってる優しい笑顔。
なのに。
どうして。
どっちがほんとの霧生くんなの?
「…………!!っ、ひゃあぁあっ」
服の上から霧生くんが胸に吸い付いて。
身体がビクンて、跳ねる。
「…………気持ちいい?」