第6章 距離
「は……っ、ぁ、あ、━━━ッッぅぅ」
「………」
足をぎゅ、と、閉じて。
足の間に入れた両手がふるふると震えている。
俯いて。
先ほどから華が漏らす吐息が艶かしくて。
美しくて。
運転中でなければきっと、いつまででもみていられる。
ガタン、と、車が段差を通るだけで。
「━━━ッッああっ、んんん」
ビクビクと体を震わせるのだ。
「………しょ、さ、ま……っ、も、やめ…っ」
「ん?」
か細い声で、右手を震わせながら僕の腕へとすがる華は、なによりも美しい。
おっきな瞳に溜まっている涙も、充血しているその瞳も。
紅潮している、その頬も肌も。
「決まった?どっちがいい?」
「………っ」
絶望的な瞳を向けて、ぶわ、っと溢れ出す涙。
まだだよ。
もっともっと。
僕にすがって。
僕だけに、従順な華でいて。
「華」
「………っ」
「…………」
残念。
まだ、足りないかな。
カチカチカチ、と、玩具の強度を上げれば。
「━━━━━ッッ、や、ああっ!!!」
身の置き所でも失ったように、うつむき耐えていた体は暴れだした。
「…め、だめ、だめ……っ、ふ、ぁ━━━め、ぇぇ!!」
刺激に耐えられないのだろう。
普段なら運転中にこんなこと絶対しないのだか、華は運転している僕の左腕にガッツリとしがみついてきた。
「しょ、さま……っ。お願い……っ、ホテル、行きたいっ、今すぐ連れてって…っ、ねが…っしょ、さま、はやく……っ」
「………仰せのとーりに」