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気持ちいいことしませんか

第6章 距離


「人がいないところならいいの?」
「お前姫をどこに連れ込む気してんだよ」
「ちげーよ、バカ。だってそれじゃ絶対損してるよ姫月」
「損、ですか?」
「そう。たまにはパァーっと遊んだ方がいいんじゃない?」


「誰のせいで人間不審になったと思ってんだよ」


「………俺?」


「え?」



『人間不審』。
さっき朱莉ちゃんが言った言葉?
違うのに。
人間不審なんて、そんな大それたこと思ってないのに。


「俺が、昔姫月苛めてたから?」


「あ………」




苛めて、た。
そう、だ。
あたし霧生くんが怖くて、怖くて。
泣いてばかりいたように思います、あの頃。



「違うんだ、あれは、あの頃、は俺……っ」



ドキン




て。
今、何か……。


霧生くんに見つめられた途端に何か、変な感じが。



「ごめん、姫月。そうだよな、けっこう酷いことしたよな俺」
「だいぶね」

朱莉ちゃん、何か楽しんでます?
しゅん、と項垂れる霧生くんもかわいいですが。
朱莉ちゃんの悪巧み顔のが気になってしまいます、ごめんなさい。


「姫月」
「………はいっ」


しまった。
思わず条件反射が。



「やっぱり日曜、出掛けないか?」
「え?」
「人間不審にしたなら、ちゃんとその詫びがしたいんだ」
「いえ…っ、そんな……っ、誰も不審になってなってませんよっ?あたし」
「そーだそーだ、詫びしちゃえ」
「朱莉ちゃんっ」
「………だめ、かな?」

「……」



日曜日。


『男の人とふたりになっては駄目だよ』


うー、ん。
薔さま、絶対怒る……。


「……朱莉ちゃん」


隣の朱莉ちゃんの制服を、引っ張って。
懇願。


「朱莉ちゃん日曜日、予定ありませんよね?」
「え」
「朱莉ちゃん……」



お願いします。
霧生くんのお誘いも、断れないです、あたし。
朱莉ちゃんが来てくれないと、困るんですっっ。
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