第6章 距離
「華?」
ビクン、て。
身体が痙攣して。
華は僕の腕の中でくったりと動かなくなった。
「………」
指を2本、咥えたまま。
意識を手放しても、それでも華はひくひくと収縮を繰り返し僕を欲しがる。
「もっともっと、欲しがって。僕なしじゃ、いられないくらいに。」
眠る華の額にキスをひとつ。
もっともっと、乱れて。
開花して。
自分の与える感覚に、刺激に、悶えながら官能的になっていく華は見ていて感慨深い。
すごくすごく、キレイだとも思う。
だけど。
他の男の手でも、こんな風に乱れるのだろうか。
気持ちよく、なるのだろうか。
華が男と個人的に仲良くなるなんて初めてだ。
ましてや相手が昔華を苛めていた霧生だなんて。
あいつは。
昔から華に興味をもっている。
それは華にとっても、だ。
『嫌な思い出』、としてずっと華の記憶を占領していた。
あいつは、あいつは絶対危険だと思った。
嫌な予感しか、しなくて。
「…………ごめんね、華」
無理、させたのはわかってる。
怖がらせたのも、感じてる。
だけど不安なんだ。
華は、俺だけのもの。
絶対誰にも渡さない、触れさせない。
他の誰も入り込む隙間などないくらいに。
華を、俺で満たさなければ。
だから華。
そろそろ前に、進む頃だよ。
「……壊したら、ごめん」
華。