第6章 距離
こんなの、嫌。
なんで?
薔さま、なんで怒ってるの?
こんなところでこんな風に気持ちよくなっちゃうあたしに、幻滅したのでしょうか。
だからこんなに、意地悪を……。
「ごめん、なさい、ごめんなさい薔さま」
「だから、違うでしょ華」
「ひ…っ!?……やめ…っ、や、らぁっ」
だめ。
だめ。
動きが、かわった?
さっきまでと全然違う。
どーしよう。
窓、窓から外が見えるのに。
こんなところ見つかるわけには、いかないのに。
だめ、だめです。
「やぁ……っ、ねが…っ、だめ、だめ、っあ」
チカチカと目の前が点滅して、全身がしびれてきたころ。
「………っはぁ」
また、先ほどと同じように薔さまはあたしから手を離すのです。
どう、して?
わけがわからなくて、ぼやける視界のままに薔さまを見上げれば。
「わかった?なんでこんなことされちゃうのか」
天使のような暖かい笑顔が、どうして悪魔に見えてしまうのか、謎です。
謎です、が、やっぱり怖い、薔さま。
「………はぁ」
小さくため息を吐き出す薔さまに、ビクン、と咄嗟に出た反応は明らかに恐怖。
薔さま、イライラ、してる。
「………指、入れるね?」
「ぇ」
反応するよりも早く、薔さまの指先が浅いところを擦り上げて。
気持ち、いい。
気持ちいい、けど。
「………っ」
なんか、これ。
「ものたりない?」
「ぇ」
「このままじゃ、辛いだけだよ?華」
「………薔、さま」
お腹の奥が、きゅうって、切なくて。
なんか、変。
これ。
これは、何?