第6章 距離
「なん、で……?薔さ……っ!?ぇ、や……っ」
浅く短く呼吸が整わないまま、ゆっくりとした動作で僕を見上げる華と、一瞬だけ視線を合わせて。
つまみあげた先端を、舌先で今度は責め立てた。
もちろん片方は、先端をカリカリと指先で刺激した、まま。
「や、や、っあ……っ、ッッああ!!」
「華は先っぽ、弱いよね」
「ぅ、え!?」
ガクガクと震える華の身体から舌先も指先も離して、先ほどから呼吸の整わない華の頭を撫でる。
このまま過呼吸でも起こされたら大変だから。
「気持ちいい?華」
「……っ、はぃ、薔さま」
「好き?気持ちいいこと」
「薔さまにされて嫌だったことなどありません」
「……そう」
「はい」
「じゃぁ、もう少し頑張ろうか」
頭を撫でながらそう、微笑めば。
嬉しそうに細められていた瞳はゆっくりとその面積を広げていく。
「薔、さま?」
「ん?」
「あ、たしやっぱり薔さまに何か……」
「うん、華がちゃんと思い出したら今日は許してあげる」
「ぇ」
「わからないなら、もう二度としないように教えてあげないとね?」
「やっぱり薔さま、怒って……」
怒ってる。
違うな。
イライラしてる。
楽しそうに他の男になびくなんて許さない。
無防備に、あの笑顔を晒すなんて絶対許さない。
華は、『俺』だけのものだ。
「ん、ふぅ、んん」
噛み付くように唇を奪いながら、先ほど同様胸の先端を責め立て、また絶頂を迎えそうなところで、手を離す。
離したついでに手を下へと持って行けば、そこはおもらしでもしたように濡れていて。
華がここまで感じてくれていた事実に、興奮する。
「は……っ、薔、」
苦しくないようにきちんと呼吸する隙を作れば、そのかわいらしい口からは抗議か否定か、どちらかの言葉が漏れる。
漏れる前に、今度は感じてぐずぐずに蕩けている突起へと、手を伸ばした。
「や……っ!?ッッああ、ぃ、っあ、薔、さま、いや、いやです…っ」