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気持ちいいことしませんか

第5章 代償


コンコン。



「薔さま、お夕飯の支度が整いました」




丁寧に部屋のドアが叩かれて。
適当に相槌を打つ。
だけど。
一向に立ち去る気配もなく、今しがたまとめていた課題を途中に、ドアを開けた。


「どうかした?」


「……申し訳ありません薔さま。お嬢様にもお声かけしたんですが」


「……ああ」



華の返事がないから、ってことか。



「華なら大丈夫。ありがとう、下がっていいよ」


「失礼いたします」





バタン、て、ドアを閉めて。
視線をベッドへと向ける。



「………」



かわいらしい寝顔を惜しみ無く晒して。
まだまだ、眠り姫が起きる気配はないらしい。



昔から、よく寝る子だった。
母親に理不尽に叱られては、よくこんな風に僕のベッドで泣きながら眠りについていたものだ。






長いキレイな黒髪を一束掬い上げ、口付ける。




「………しょ、さま?」



「あ、起きた」




しかも口付けるところ、見られたかな。
起きた途端に顔、真っ赤だ。




「おはよう華、もうご飯みたいだよ」


だけど敢えてそれには気付かないフリ、して。
笑顔で額へとキスをした。



「し、薔さま……っ」
「ん?」
「ぃえ、あの……」


「あんまり真っ赤になってると、かわいすぎて襲うよ?」


「………っ」




無知で。
鈍感で。
かわいいかわいい、僕のお姫様。



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