第3章 『ご褒美とお仕置き、どっちがいい?』
「……………ぇ」
真上から見下ろす薔さまの瞳はまっすぐにあたしを見据えていて。
その瞳があまりにも優しくて。
言葉の意味が理解、出来ません。
今、なんておっしゃったの?
「僕を裏切った華にはお仕置きしたいけど、でもやっぱりかわいい華にはご褒美もあげたいし。ねぇだから、華が選んで?」
「あ、あたし、が?」
「そう」
「そんな…っ、薔さまにして頂けるなら、あたしにはどちらもご褒美です…っ」
「…………じゃぁ、ご褒美、あげる」
「薔さま……っ」
「ねぇ、僕にどーして欲しい?華のしてほしいこと、してあげるから」
「え」
「ご褒美、でしょ?」
そんな……っ。
それこそ華には、お仕置きと変わらない気がしますが?
「言わないとずっとこのままだよ?」
制服の上から、柔らかな膨らみに指先を沈めながら、薔さまは楽しそうに笑って。
時々、耳たぶを甘噛みしたりする。
それだけでも、あたしには電流が流れたように衝撃が走るのですが。
でもだけど。
何がが、足りない。
「華?」
「薔さま……っ、お許しください、華には出来ません……っ」
「どーして?」
「薔さまに、嫌われたくない…っ」
「嫌わないよ」
「ですが……っ」
「華」
戒めるように低く、そう、名前を呼ぶと。
薔さまは前髪をそっとかきあげて、おでこにキスをひとつ、くれたのです。
「僕の言葉、わかるよね?」
「……っ」
穏やかな口調とは反対に、冷ややかな瞳。
違う、怒りを耐えている瞳。
「……っ」
薔さまには、逆らえない。
「……直、接触って頂くのは、いやしい行為になりますか?」