第3章 『ご褒美とお仕置き、どっちがいい?』
『気持ちいいこと、しようか?』
「華、僕にどーして欲しい?」
「……っ」
喉が、お腹が、熱くて。
息が出来ない。
勝手に溢れる涙を、止めることが出来ないのです、薔さま。
「薔さま、キス、して欲しい……」
「いいよ」
「ん………っ」
薔さまのキスはいつも、ドロドロに溶けたチョコレートみたいに甘くて。
気持ちいい。
薔さまの舌が撫でるところから、熱が生まれて。
口内全部に伝染してしまうような。
「気持ちいい?華」
「……薔さま、気持ちいい」
もっとしてほしくて、自分から薔さまに顔を近付ければ。
薔さまはにこりと微笑んで、華の後頭部へと手を回し、そのままもう一度、深いキスをあたしにくれたのです。
自分からねだるなんて、薔さまに呆れられたでしょうか。
下品な女、と、思われたでしょうか。
ごめんなさい。
だけど華、キスだけじゃ……。
これだけじゃ余計に体が疼くばかりで。
どーしたらいい?
薔さま、苦しいです。
「ねぇ華、キスだけでいい?」
「ぇ」
「これで華、満足?」
「……っ」
薔さま。
気付いて……っ。
あたしの浅ましい考えなんて、薔さまには全てお見通しなんだわ。
全部全部、薔さまに気付かれてしまっていたなんて。
「ごめんなさい、薔さま、ごめんなさい」
「なんで謝るの?」
「華は薔さまが好きな、上品で優雅な女性ではありません…っ、華は、薔さまといるとどんどん厭らしくなっていく……。こんなの…」
薔さまに結婚して頂くなんてとても……っ。
「……華」
「……はい」
「僕は好きだよ?どんな華でも」
「ほんとですかっ??」
「もちろんだよ。だって華は、僕だけのお姫さまだもの」
「薔さま……っ」
なんて、なんてお優しいのかしら。
薔さま、優しすぎます。
「ねぇ華」
「はい」
「ご褒美とお仕置き、どっちがいい?」