第2章 サディスティックな目覚め
「おかえりなさい、薔さま」
「ただいま、華」
あれから6年。
髪の毛もずいぶん伸びた。
あの頃と、同じように。
あの頃と同じ笑顔。
同じ、声。
同じ匂い。
ただひとつ、違うことは。
「宿題してたの?」
「はい」
「見てあげようか?英語?」
ネクタイをゆるめつつ、ノートへと手を伸ばす。
うん、まぁこのくらいなら、僕にもわかるかな。
「薔さま、でも疲れていらっしゃるのでは」
「大丈夫だよ、教師と一緒に住んでる特権だね」
「……っ」
こんな言葉ですぐ真っ赤になるところも。
「華」
ペンを持つ右手に右手を重ね、ついでに唇を、重ねる。
拙いながらも必死に僕に応えようと舌を絡ませてくる姿も。
全部、好き。
「薔さま……」
キスだけでトロンて蕩けちゃうところも。
「気持ちいい?」
「はい……」
素直なところも。
「もっとする?舌出してみて?華」
僕に従順すぎるところも。
全部全部かわいくて。
つい、苛めたくなるんだよ。
「続きは宿題終わってからね?」
「……はい」
華にこーゆーことを教えるのは、『イケナイこと』をしているようで正直背徳感に襲われる。
だけどそれ以上に。
華を自分の手で汚しているという事実が、さらに嗜虐心を煽っていくのだ。