• テキストサイズ

気持ちいいことしませんか

第2章 サディスティックな目覚め


「……」



僕の、好きな髪の毛。



ああそっか。
僕が好きなのは華そのもの、なんだけど。
それでずっと切らずに伸ばし続けていたのか。
もちろんふわふわの真っ黒なロングヘアを撫でるのは、僕のお気に入りではあるのだけど。



「華」


大きな瞳から流れ出す涙を両手のひらで拭いながら。
静かに、彼女は顔をあげた。


「髪ならまた伸ばせばいいよ」
「薔さま」
「それよりそんなに擦っちゃ真っ赤になっちゃうよ?」

「……薔さま…っ」

両手首を捕まえて、涙へと口づけすれば。
今度は顔を真っ赤にして、彼女は恥じらうように顔を背ける。

ああほんと。
かわいいな。



「華は短い髪でも十分、かわいいよ。それよりちゃんと揃えなきゃね。僕がもっとかわいくしてあげる。待ってて、今、用意してくるから」

「はいっ、薔さま」


ほら。
華を笑顔にできるのは、僕だけなんだ。
華を泣かせていいのも、僕だけ。
華を傷付けていいのも。

全部全部僕だけだ。


華の涙は魔力がある。
あんな顔、誰にも見せない、見せたくない。
僕なら華を、泣かせない。
だけど。


華の泣き顔を、もっとみたい。
泣かせたい。
怯えさせたい。




ねぇ早く、大人になって。華。
/ 105ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp