第7章 LOVEsickness
「物事を頼む相手にはその理由を知る権利がある。私にとってはこんなのただの布切れだが、この布切れが私の地位を端的に示す名刺のようなものなのだヨ」
布切れとしか思ってないんだ…。
逆にびっくりだけど、マユリ様なら不思議じゃないかも。
「それを数時間だけと言えどもお前に貸すんだ。理由を聞いておかないと不安に思うのは当然の心理だろう?もっとも、お前のことだから悪事に使うとは到底思えんが、一応ネ」
「そ、そうですよね…」
私は観念して、あまり話したくなかったその理由を口にする。
「今度の撮影で使うんです」
「撮影?」
「はい。実は私、九番隊が最近新しく刊行している若い世代向けの週刊誌に載せて頂いてるんです。もちろん、私だけじゃなくて他の先輩たちと一緒ですが…」
「何?そんなの聞いてないヨ!」
マユリ様が身を乗り出して来るものだから、思わずびっくりして仰け反る。
_