第6章 To HEARTS
「手放しで褒めてやっても良かったのだが、これだけは技術開発局を預かる身としては言っておくべきだと思ったのでネェ」
「は、はい…」
「私が先に知っていてこのことを容認していたとは言え、私に何の報告も無しに局の技術を使い、薬品や機器を何の対価もなく他隊に贈与したことに関しては、褒められたことではないヨ。本来なら処分ものだ」
私はハッとした。
隊長の仰る通りだ。
今まで局のために、みんなのために、隊長のためにと思ってやってきたことだったけど、そうして使った物だってみんなが作り上げてきた結晶だ。
私は自分の追い求める理想ばかりが先行して、現実的なことを見失ってた…。
何やってるんだろう。
気持ちばっかり先走って、みんなのこと考えてるようで考えてなかった…。
「ま、今回は向こうが勝手に対価を寄越したから大目に見てやるヨ」
「はい…。申し訳ありません。局の損益に関わることについては、局長にお許しをもらうべきでした。考えが至らず申し訳ございません」
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