第3章 For My PRECIOUS YOU
噂には聞いていたけど、このお二人…反りが合わないっていうのは本当だったんだ…。
「俺は取られたなんざ思っちゃいねぇ」
「ほう…。それは負け犬の遠吠えかネ?その割には私の軽い挑発に乗ってきたじゃないか」
「どう思おうがテメーの勝手だが、これだけは言わせてもらうぜ」
そう言って、更木隊長は私を一瞥する。
「選んだのは涅…お前じゃねぇ。この女だ」
更木隊長は涅隊長を見据えながら私を指差す。
わ、私!?
「勘違いすんな。お前は運良くこの女に選ばれただけだ」
涅隊長は歯を食いしばりながら眉間にシワを寄せる。
「じゃあな」
「リコりん、ばいばーい!」
更木隊長は私に手を振る草鹿副隊長を肩に乗せ、さっさと部屋から出て行ってしまった。
涅隊長は納得してないご様子で、更木隊長の出て行った扉を睨みつけている。
「私は…そんなこと思ってませんよ、涅隊長」
私はおそばに歩み寄り、怒っている涅隊長に微笑む。
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