第17章 STAY with ME, please
私の方を見上げた綾瀬川五席の表情が一瞬で曇り、目を見開いた。
刹那、私の体に大きな陰が落とされた。
思わず振り返ると、そこにはもう一体のメノスグランデ。
「英さーー…」
綾瀬川五席が私の方に手を伸ばす。
私がハッとした時にはもう遅かった。
ドッ!!!
メノスの巨大な手のひらが私の体に思い切り当たり、吹き飛ばされた。
何棟か建物を突き破り、ビルの鉄骨に激突し、ようやく私の体が止まった。
「げほっ…」
腹の奥底から吹き出すように血を吐き出した。
体が重力に従って体が落ちる。
「はぁ…っ、はぁ…」
うつ伏せになったまま辺りを見回す。
ここはまだ建設中のビルみたい…。
私…組まれた足場に落ちたのか。
壁も床もまだコンクリートで塗り固められてはおらず、吹きさらしの鉄骨とパイプが組まれているだけだった。
良かった…。
現世の人を巻き込まなくて…。
被害が大きくなる前に…片付けなきゃ。
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