第2章 This PROMISE will be our CURSE
「忘れたいからです」
思い出したくない…。
なのに毎日夢に見てはうなされる。
あの日…土砂降りの雨が降ってできた水溜まりが赤く濁っていった光景をーー…
「流魂街にいた時に大事な人を亡くしたんです。私たちの持ってたわずかな食糧を寄越せと盗賊たちに強奪されそうになり、抵抗したら襲われました。それで…私が刀で斬られそうになったところを彼がかばってくれたんです。…よくある話ですよね」
私は目を閉じ、ふぅと息をつく。
「でも、そういうことがあったからと言って、私も他の人を助けたいとか…崇高な反骨精神みたいなものはありません。あの日奪われた大事な人は戻ってきませんから…」
「それが死神になることとどう繋がるんだネ?」
「死神の仕事って多忙だそうですね…。だから選びました。クオンに会いたくて会いたくて…毎日うなされます。すごく苦しいんです。ずっとずっと苦しい…っ」
枯れたはずの涙が流れてしまいそうで、そんなの隊長に見られたくなくて思わずうつむいた。
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