第13章 the TRUTH
「やっぱり隊長…お前らのは作動できなかったんだな。この薬持って行かせるくらいだから、相当テンパってんのが目に浮かぶ」
阿近さんは手元のピンクの液体が半分くらいになった小瓶を見つめてつぶやく。
「これは爆薬を無効化させる薬。これを持って来たのも生きて帰ってきたのもお前らが初めてだな」
阿近さんは小瓶をコトッと机に置き、たばこを灰皿に押し当てる。
灰色の煙が天井に燻る。
いつもなら煙が染みるのに、今はそんなの感じない程に心も体も悲しみで麻痺していた。
それほど…阿近さんの口から出てくるだろう次の言葉に怯えた。
「何にせよ、火のないところに煙は立たぬ、だ。噂は本当だ」
息が止まる。
見開いた目からじわりじわりと溢れてくる涙。
ぐっと唇を噛み締めた。
涙を堪えるためじゃない。
悔しくて…言葉にならない。
私は震える手で顔を覆った。
「何で…隊長は私たちを爆弾にしなかったんでしょうか…」
「さぁな。隊長の考えることはわからん。…が、お前らが十二番隊の戦闘要員の精鋭だから欠けると困るっていう合理的な理由…以外にもあると俺は思う」
阿近さんはいつもと変わらない様子で頭をポリポリかく。
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