第12章 Break like a BOMB
「それなら俺たちが送ろう。君らは次にここの見張りをすることになっているはずだからね」
この足を引っ張ってくれた横取り班長の存在なんか、すっかり忘れてた。
私は甚保くんに目配せすると、甚保くんがメガネをクイと上げた。
それを"了解"の合図と受け取り、横取り班長に笑顔で返事をする。
「そうですか。どうもありがとうございます」
「ちょっと先輩…!」
渋舎くんは不服そうにしながら口を尖らせる。
班長はフッと意地悪く口角を上げた。
…でも、旅禍は渡さない。
「ですが、一つ問題があります。ね?甚保くん」
私がそう言うと、甚保くんが一歩前に出てせせら笑いながら肩をすくめた。
「本来の担当区域から異なる場所を警備してしまうような、方向感覚に難のある貴殿が案内人では無事に隊舎にたどり着けるか不安ですね…」
「き、貴様…!」
班長は苦虫を噛み潰したような顔で甚保くんを睨んだ。
「という訳で、ここは私たちの班が送り届けた方が良さそうです。さ、行きましょう、新人さん」
私は旅禍の女の子の背中に手を添えて微笑んだ。
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