第1章 2代目は継娘
一人が○○をどけようとした。が、するりとかわし、座らせた。やられた本人すら、何が起こったのか理解出来ていない。イヤミはただそれを、笑顔で見ている。
「え?え?何が起こったの?!」
「それより、いつの間にあそこに?」
「何か、すごーい!」
「クソッ!!こうなったら、腕ずくで!!」
殴りかかる下っぱを、華麗にかわす。ただかわすだけではない。ちゃんと痛点をついて攻撃している。
「すげぇ……!!」
「うっひょっひょっひょっひょ。チミたちに勝ち目は、ないザンスよ」
「他に歯向かう人はいる?」
○○が言うと、全員その場に座った。
「いい?私がこの組を継ぐからには、あんたたちの足手まといにだけは、ならないわ。もしそんなことがあったら、遠慮なく撃てばいい。分かった?!」
「「へい!」」
「じゃ、ミーは奥にすっこむザンス」
「お疲れ様、おじさん」
「ガクッ。まだお父さんとは、呼んでくれないザンスか?」
「孤児院から出してくれたことは、感謝してるわ。でも私のこと、まだ金づるだと思ってるでしょ?」
「シェー!バレてる」
「その間は、絶対呼ばないから」
「分かったザンス…」
「どうせ引退するのも、面倒になったからでしょ」
「シェッシェーッ!!」
「やっぱり…」
イヤミはそそくさと、その場を去り、○○はやれやれという感じに首を、横に振った。
「あんたたちも、よくあんなのについてきたわね。今日のところはこれで、解散。あ、あんたたちは残って」
六つ子たちに言う。
「これからのことを、相談したいの。お茶を入れるわね」
「俺がやります」
「ありがとう、チョロ松。でもいいの。あんたたちは座ってて」
六つ子は言われた通り、テーブルについた。
「お待たせ。おせんべいしかなかったけど、いい?」
「あ、俺たちは何でも」
「でさ、これからのことを、相談したいのよ。極道なんて初めてだし、何をしていいのかわかんないから」
「あーーー」
おそ松たちは○○に、自分たちがしてきたことを話した。
闘争は向こうが仕掛けたらやる、困っている人に手を差し伸べる、地域への貢献。
「ただ、組長は金をせびるんで…」
「あー。そういうところも、あたしがおじさんをお父さんって呼ばない、理由の一つなのよね」