第3章 捕らわれたイヤミ
「あたしは今まで、あんたが育ててくれたことを恩に思ってきた。だから、暗殺の術も身に付けたんだ。でもあんたは、どこまでもクズだった」
喉を貫かれているために声が出せず、口をパクパクするイヤミ。
「死ね。言い訳は、地獄でしな」
ナイフを抜くと、喉から血を吹き出してイヤミは、絶命した。
返り血を浴び、息絶えたイヤミを見下ろしていた○○はやがて、ガックリと膝を折った。
見た目でも分かるくらい、震えている。
駆けつけたカラ松が、その体を抱きしめた。とたんに堰を切ったように泣き出す○○。
しばらくして警察がきて、○○を連れて行ってしまった。組員はただそれを呆然と、眺めるより他になかった。
裁判が始まり、チビ太の証言でイヤミの蛮行が露見し、情状酌量の余地があるとされ、2年の刑期の判決が下された。
おそ松たちは度々訪れ、面会した。カラ松は○○への愛をしたためた手紙を、毎日のように寄越した。
やがて刑期を終えた○○が出てくると、そこにいたのはカラ松だけだった。
「お帰り、マイハニー。待ってたぜ、カラ松ガール」
「カラ松…!!」
カラ松に抱きつく○○。カラ松はそんな○○の指に、リングをはめた。
「俺と、結婚して下さい」
「……はい!」
するとどこからともなく、
「「わぁああああああ!!」
赤塚組全員が出てきて、○○を胴上げした。
「わーっしょい わーっしょい!!」
「2代目、お帰りなさいませ!」
「ずっと待ってやした!」
「みんな…!!」
「カラ松兄貴とのご結婚、用意は整ってますぜ!」
「ドレスはなんと、カラ松兄貴のお手製!!」
「ええっ?!」
そこにチビ太とその傘下たちもいた。
「俺、あんた…いや、○○組長の強さと優しさに惚れたんだ!ついていきやすぜ、ちきしょー!」
○○はあのときのように、ニッと笑った。
「帰るぞ、野郎ども!!」
「「おおーーーーーーっ!!」」
○○はカラ松と一緒に車に乗り、カラ松に口付けた。
やがて赤塚組は松野組に名を変え、組長となったカラ松と○○夫婦を筆頭に、地域の人々を守るための組織となった。その中心にはいつも、幸せそうな二人の姿があった。
完