第3章 捕らわれたイヤミ
○○の2代目っぷりが板についてきた頃、事務所に一本の電話がかかってきた。
「はい、赤塚ぐm」
「てやんでぇばーろーちきしょー!!お前んとこのイヤミは、このチビ太様が預かった!!返して欲しけりゃ1000万持って、ここまで来やがれってんだ、ばーろー!!場所は、赤塚ビル建設現場だ!てやんでぇ!」
「2代目、大丈夫ですか?真っ青ですぜ」
「……………めて……」
「え?」
「みんなを集めて!」
「へい!」
広間に組員全員が集まった。○○は震える手を押さえながら、前に立つ。
「………っ……」
震えが止まらない。○○の心にあるのはただ、『怖い』ということ。暗殺の術を知っていても、今まで闘争に使ったことはないし、実際に他のところへ乗り込むのは初めてだった。
なかなかしゃべりだそうとしない○○に、組員はざわめき出した。
○○は差していたヘアピンを抜くと、自分の手の痛い場所に刺した。そうでもしないと、崩れ落ちそうだった。
「!!」
「○○!!」
「っ!はぁっ、はぁっ。…みんな、おじさん…元組長が、さらわれた。身代金は1000万。そんなお金なんて、ない。だから、力ずくで取り返すしかない。あんな守銭奴でも、私を育ててくれた、たった一人の父親なの。行くのは正直、怖いよ。すごく怖い。でも、行かなきゃならないの!お願い、力を貸して!」
そしてその場に土下座した。
「お願いします!」
「2代目、顔を上げて下さい!」
「俺たちは、2代目だからついてきたんです!」
「どこまでも、お供しますぜ!」
おそ松たちが○○を立たせる。
「みんな、○○が好きなんだ」
「○○を守る役は俺が受け持つぜ、マイハニー」
○○は全員を見回した。みんな、戦う男の顔をしている。体の震えは、止まった。
「みんな…。ありがとう…。」
おそ松たちに目配せをして元の位置に戻らせ、今度はしっかり前を向く。
「場所は、赤塚ビル建設現場だよ。」
そして、ニィッと笑い、言いはなった。
「行くぜ、野郎ども!!」
「「おおーーーーーーっ!!」」
全員獲物を手に、車に乗り込みに行く。
「カラ松!置いて行くぞ!」
すでに車に乗り込んだおそ松たち。