第13章 Blow! 〈朝日奈 乃愛〉
『好きでもないのに勝手に決められ、知らない人と結婚しろとか、もう我慢の限界だったの。婚約はしないって言ったら、付きまとってくるようになった。最悪だよね』
「お前は、強いな」
『強くなんてない。私は無力だ。自分じゃ何も出来ない』
「全部自分でやる必要なんてない。一人で出来ない事があるから仲間がいる」
『…そうだね。私、そろそろ寝るよ。それじゃ、また明日』
「ああ」
ーー翌日
朝ごはんも時間通りに作って、後は学校に向かうだけ。
「準備は出来たか」
「はーい!」
『うん。大丈夫』
「行くか」
夕香ちゃんとはマンション前でお別れ。学校に向かうけど…今日は本当に何もしてこないでほしい。正直言って本当に気持ち悪い。
「なるべく一人にはならない方が良いな」
『うん。今日は移動教室が無いのが幸いだよ』
学校に行ってから部活中もだけど、今日は逆に何もして来なかった。何だか気味悪いな…。いきなり何なんだろう。
「今日は何もして来なかったな」
『気持ち悪い位にね』
家に戻っても明かりはついていないから少しホッとした。
『それじゃ、ありがとね』
「俺も一応いるか?」
『ううん、大丈夫。電気ついてないし、誰も居ないと思う』
「何かあったら電話かけてくれ」
『うん。ありがと』
はぁ…やっと落ち着いていられる。鍵を開けて中に入る。人気は無いし、私一人の筈だ。安心して、自分の部屋の扉を開けた瞬間だった。
「ハァ…乃愛ちゃん…」
驚愕した。何で、私の下着が此処にあるの…?それに、何…してるの?私の、下着…匂い嗅いで…。
『あ…』
「ああ、君か…。本人が来るとはね。昨日は居なかったのに」
昨日も、やってたの…?ご、豪炎寺、豪炎寺を呼ばないと…。電話のコールを押した所で押し倒された。
『離れて…下さい…!』
「ははっ…良いなぁ…」
『豪炎寺…!助けっ…んんっ!』
気持ち…悪い…。ファーストキスが、此奴なんて…!制服のシャツのボタンが外される。嫌だ…!やめて…!
「朝日奈!」
声が聞こえた瞬間に、目の前が眩しくなった。
『ご…えんじ…』
「取り敢えず行くぞ」
『でも…』
「必要な物だけ持って俺の家に行こう」
『でも…』
「父さんなら俺が説得する」
『うん』
立ち上がろうとしたその時だった。足に痛みが走った。押し倒された時に捻挫したんだ…。
「掴まれ」