第59章 Epilogue!
少年サッカー界に2年前突如台頭したフィフスセクター。その勢力は止まる事を知らず、最早少年サッカー界だけでなく他の界隈へも手を伸ばそうとしている。その中で革命を見守りながら固唾を飲み込む者。革命を陰ながら支える者。の二方向に別れていた。
「ねぇ…乃愛ちゃんとは連絡取れた?」
「ううん。未だに2年前から既読はついてないし、電話も繋がらない」
「噂では…フィフスセクターに乃愛ちゃんが居るって…」
二人の少女は不安に飲まれようとしていた。突如連絡が取れなくなった、彼女らの友人が少年サッカー界へ不幸をもたらす組織へと加担しているという噂を聞いてしまったからである。
「でも、大丈夫だよ。きっと」
「え…?」
「乃愛ちゃんは一番正義感が強い人だった。豪炎寺君が変な方向に走ろうとしてたらきっと引っ叩いても止めるよ」
「でも…あれから雪音ちゃんも行方不明だし…」
「雪音ちゃん?」
「結構前にお日さま園に来た子なの。でも、中学生になる春休みに…行方不明に…」
怪しい雲行きだった。今はまだ全てが謎のままである。
「瑠璃」
「ヒロト君」
「星羅」
「有人君」
彼女達だけでは無い。彼女達の伴侶も心配していたのだ。日本代表として活躍していた筈の友人がいきなり表舞台から姿を消したのだから。
「何をしているんだ…豪炎寺…」
こうしている間にも、とある中学校が廃校になっている。最早、犠牲無しに革命は成し遂げられなくなっていた。それがかなり大きな犠牲だとしても、起こしてしまった風は止められない。
「乃愛ちゃん…無事なの…?」
物語は新しい主人公へと受け継がれ、真実へと進んで行く。それが残酷な運命だとしても。ゆっくりと、進んでいくのだ。
「行こう。レジスタンスに出来る事をやらないと」
「これ以上、皆に絶望を与える訳にはいかない…。私達が…守らないと」
「そうだな。豪炎寺の所在も、出来れば纏めて突き止めたい」
「何だか…嫌な予感がする。もっと…これ以上に辛い事が…」
空には暗雲が立ち込めている。もうそろそろ雨が降り始めるだろう。しかし、その中には多くの者の想いを背負った四人の男女が佇んでいた。決意は固く、これ以上のフィフスセクターの勢力を広げさせる訳にはいかないと。
「行くよ…皆!」
「うん!」
意を決して、其々の役割を果たしに街中を駆け回ってゆくのであった。