第13章 Blow! 〈朝日奈 乃愛〉
「警戒した方が良いな」
『高校の教師にまでなったら、流石に吐く。いや、真面目に』
「だろうな。俺でも吐く」
『豪炎寺も気をつけた方が良いよ。彼奴に目を付けられると本当に面倒臭いんだから』
「朝から私の話とは、嬉しいね」
「行くぞ!朝日奈!」
『う、うん!』
いや、無理を通り越して超絶引くんですけど。怖っ!後ろからぬるって出てきたし!
「漸く学校だな」
『マジ無理…。死にそう…』
「取り敢えず、教室に行くぞ」
『うん』
案の定、新しい教師の紹介をされ、其奴は言うまでもなく榊。しかもうちのクラスの副担任だって。マジで吐きたいんだけど。
「最悪な展開になったな」
『最悪通り越してるって…』
「乃愛ちゃん!」
『瑠璃、星羅…』
「彼奴、来たんでしょ⁉︎大丈夫なの⁉︎」
『もう既に、あたしのクラスの副担任なんだけど…』
「ええ⁉︎そんな…」
『手際良すぎるって。もう落ち着けないんだけど』
「気を付けて…乃愛ちゃん。彼奴、本気だよ」
確かに、今迄とのレベルが違う。いい加減にしてほしい。
『瑠璃達も気を付けて』
「うん…」
「一年三組、朝日奈 乃愛さん。至急生徒指導室に来て下さい」
『は…?』
「行くな」
「駄目だよ!乃愛ちゃん、此処に居た方が良いよ!」
『うん…』
ここまでするなんて…。最低野郎!
「私達、もう授業始まるから行くね。気を付けて…」
『うん』
「朝日奈、呼ばれてるけど、行かねぇのか?」
『良いの良いの。もう終わった事だから』
「?」
何を…するつもりなの?彼奴は物理の授業の担当らしい。時間ギリギリに行って速攻で戻らないと。
「朝日奈」
『豪炎寺…』
「もう少しギリギリになったら行くか。移動教室」
『だね』
チャイムが鳴る一分前に物理講義室に向かう。彼奴に刃向かうにはこれくらいしか方法が無い。物理講義室の机が壁に接していて助かった。二人掛けの席だから、寄ってくる事はない。ただ心配なのは私が一番前だと言う事。
「朝日奈、豪炎寺と席を変われ」
『私、ここからじゃないと光の反射の影響で見えないので困ります。だから無理です』
隙あらばセクハラしようとしてるんだ!ほんっと変態!物理の授業は無事に終わった。後は最速で帰るだけ。
『豪炎寺、行こう』
「朝日奈、前に来い」
「行くぞ」
「豪炎寺、お前はすぐに教室へ帰れ。担任の先生が呼んでいたぞ」