第12章 Choose! 〈綾織 星羅〉
「それじゃあまた後で」
『うん』
私、鬼道財閥の為に何か出来てるのかな。全部有人君に任せきりな気がする。私も、何かしたいよ。
「昼食のお時間にございます」
『は、はい!』
昼食を食べたら急いで着替えてパーティ会場に向かう。初めてこんな高級車乗るんですけど…。
「星羅。会場に着いたらまずは会場内を把握しろ」
『分かった。案内出来る様にって事だよね』
「ああ。それからマナーもしっかり覚えろ」
『うん』
もしかして…私もやるべき事、有人君一人で背負ってるんじゃないかな…。
「着いたな。行くぞ」
『うん』
会場は凄く豪華で人が沢山入る広い会場だった。今日の内に回って覚えておかないと。会場に入って右に曲がり突き当たりにお手洗い。二階は手前に男性更衣室。奥には女性更衣室。そして女性更衣室の向かいには女性の化粧室。ここを抑えておけばなんとかなりそうだ。
「会場内の把握は大丈夫か?」
『うん。頭に入った』
「次はマナーだな。恐らく二十分から十五分前にはゲストも着く頃だろう。挨拶に来る人も多いだろうから、先程も言った通り失礼の無い様に返せ」
『分かった。でも、ゲストの情報を見せて貰えないかな。有人君ばかりに任せていられないよ』
「…分かった」
ゲスト情報も貰った事だし、確認しよう。私も、出来る事はしたい。
『私だって、有人君の力になりたい。だから一人で背負い込まないで。私だって、出来る事はやりたいの。暗記系なら任せてよ』
「…そうだな。俺はもう、一人ではないんだな」
『そういう事。どんどん頼ってね』
きっと、無理して婚約させたと思ってる。私は気にしてないのに。
「そろそろ、帰るか」
『うん』
「明日のパーティは八時からだ」
『結構遅い時間だね』
「ああ、だからイブニングドレスだった筈だ」
『成る程。それじゃあそろそろ帰ろうか』
「ああ」
ーー翌日
ついにやってきてしまった、パーティ当日。緊張する…。ギリギリまでマナーを確認しよう。ゲスト情報も覚えたし、失礼の無いようにが今日のノルマ。上手いこと言うのは取り敢えず二の次。
『いよいよ今日だね…』
「出来るだけリラックスしろ。緊張してるのがバレたら格好が悪いぞ」
『うん。大丈夫』
「よし、パーティ会場へ行くぞ」
頷いて黒塗りの車に乗った。ふぅ…落ち着こう。落ち着いて周りをよく見れるようにしよう。