第12章 Choose! 〈綾織 星羅〉
「お嬢様、こちらです」
『は、はい。また後でね、有人君』
「ああ」
まずは用意されたイブニングドレスに着替える。うん、きつい所もなく丁度良い。座っても大丈夫。次はメイクでその後にヘアセット。メイクは完全に使用人の方に任せた。ヘアセットもやってくれるらしい。髪型はフォーマル感が強いアップヘア。編み込みやくるりんぱも組み合わせて凄い綺麗にまとまった。
「有人様がいらっしゃってます」
『通して下さい』
使用人の方がドアを開けて有人君を入れた後、静かに部屋を出ていった。
「…」
『ど、どうかな?可笑しい…?』
「いや…凄く、綺麗だ…」
顔真っ赤にしてる。お世辞では無いみたいでちょっと安心。こんなドレスに靴、そして髪型にメイク。高校生では絶対にやらないと思う。貴重だ…!
『有人君も似合ってる。カッコいいよ』
タキシードも良く似合っている。流石にゴーグルは外していて、ツリ目の赤い綺麗な目がこちらを見ていた。見る度に凄く綺麗だと思う。
『ゴーグル外してくれたんだね。ありがとう』
「いや…」
『私、有人君のその目、大好きだから。嬉しいの』
「褒めても何も出てこないぞ」
頬を掻きながら下を向いた有人君。どうやら褒め攻撃には弱いみたい。
『それじゃあ、行こうか。有人君』
「ああ」
腕を出して来てくれたって事は、組んで良いって事だよね。うわぁ…本格的だぁ…。
「足は大丈夫そうか」
『うん。スポンジ入れてくれてるみたいだから多分大丈夫』
「そうか。疲れたらすぐに言ってくれ」
『うん。ありがとう』
そろそろゲストも到着する頃。よし、気を引き締めていこう。
「来たぞ」
『うん』
一人目のゲストが到着した。確かあの顔は、
『菅原さん…だよね』
「ああ、その通りだ。よく覚えていたな」
『菅原様ですね。お越し頂き、ありがとうございます』
「こちらこそ、招待して頂きありがとうございます。婚約、おめでとうございます」
「ありがとうございます」
何とか出来た…。この会話が何回も続くのかと思うと不安だけど、やるしかない。今の調子で頑張ろう。
「上手くいったな」
『でも、まだまだ。今日は沢山人も来ると思うし』
「そうだな」
その後はどんどん人が集まり始めて、挨拶もピーク。ぺこぺこと頭を下げて、何とかほぼ全員への挨拶も終了。皆食事を楽しんでくれてるみたいで良かった。