第12章 Choose! 〈綾織 星羅〉
今日の練習は基本練習を多めにして、足腰を鍛える特訓がメインだった。最初の大会はもうすぐ。フットボールフロンティアハイスクールは七月から開催される。それまでにきっちり鍛えておかないといけない。
『瑠璃ちゃん。ドリンク作ろう』
「うん」
『今日は暑いね。皆脱水症状にならない様にこまめに水分補給させないと』
「そうだねぇ。四月の割には暑いし…」
ドリンク、大量に準備しないと。
「星羅ちゃん、あれから何もないの?」
『うん。全くと言って良いほど無いよ。情報伝達役の春川先輩が居なくなったからどう仕掛けたら良いのか分からないんだと思う』
「なら良かった。後は乃愛ちゃんだね…」
『うん…。あの人、最近仕掛けて来ないから、何をしてくるか分からない…。きっと大きな事を仕掛けてくる』
「朝日奈がどうかしたのか」
「あ、豪炎寺君」
『豪炎寺君、乃愛ちゃんを、守ってあげてね。その内、乃愛ちゃんにきっと良く無い事が起こる』
「分かった」
「ありがとう。あの人、もう何をしでかすか…」
「一年!ドリンク渡して!」
『は、はい!』
乃愛ちゃんにつきまとうあの人は何を考えているのか良く分からない。乃愛ちゃんのお父さんとお母さんは仕事絶対主義だ。乃愛ちゃんを自分達の物だと思っている。中学まではなんとかなったけど、これからはどうなるか…。乃愛ちゃんは一人暮らしだし。
「今日はこれで終わりだ!片付けして気を付けて帰れよ!」
「はい!」
そういえば、パーティは明日だ。礼儀を学んでおかないと…。昨日いきなり聞いてびっくりしたけど、そうだもんね。鬼道財閥に貢献するんだ。
『お疲れ様、鬼道君』
「ああ。そっちもな」
『ね、ねぇ鬼道君。私パーティでのマナーとか良く分からないんだけど…。教えてくれないかな』
「ああ、その事なら今日教えようと思っていた。今日は実際に会場に行って会場の中を見る」
『分かった』
「昼食を食べたらすぐに向かうから準備してくれ」
『うん』
覚える事多そうだな…。パーティとかって主催者がパーティ会場の中を良く知っておかなきゃいけないし、ゲストの顔も…。ひえええ…。
「ゲストの情報は俺が全て覚えている。お前は挨拶をして何か聞かれたら失礼の無いように返せ」
『う、うん。頑張る』
「お前なら大丈夫だ」
『失礼の無いようにを心がける事にするよ』
「そうだな」
『私も、頑張らないと』