第2章 Start! 〈綾織 星羅〉
『おはよう、鬼道君』
「ああ、おはよう。随分遅かったな」
『教室の前で友達と話してたら遅くなっちゃったの』
「そうか。そういえば今日は新入生歓迎会だな」
『うん。多分主に部活動紹介だろうなって友達と話してたんだ』
「綾織は何部に入るんだ?」
『私はかるた部かな。鬼道君は言わずもがなサッカー部でしょ?』
「ああ。そうだな」
でも、サッカー部のマネージャーになったら鬼道君のサッカーを毎日見れるんだよね。いや...そんな邪な気持ちでやっちゃダメだよね。
「皆席つけー!朝のSHR始めるぞ」
今日は午前中はレクリエーション。午後は新入生歓迎会みたい。レクリエーションと言っても先生が用意したちょっとしたゲームをするだけ。でも一応ジャージに着替えるみたいだ。体育館集合だからそろそろ向かわないと。あ、あそこにちょうど一人の女の子が。
『あのっ!良ければ一緒に体育館に行きませんか?』
「え、ええ」
凄い...髪の毛サラサラ...お嬢様みたい。
「貴女、確か綾織 星羅さんよね」
『は、はい!えっと、貴女は雷門 夏未さんですよね』
「ええ」
『良かった...体育館行くのに一人で行くのは寂しかったから。夏未さんが居て良かったです』
「夏未で良いわ」
『ふふっ、じゃあ私の事は星羅って呼んで下さいね』
「あと敬語もいらないわ」
『えっと、わかっ...た?夏未...。あはは...照れるかも...』
乃愛ちゃんと瑠璃ちゃん以外で初めてこんな風に打ち解けて話せた。良かった...。
「貴女、面白いわね」
『え...?』
「いいえ、なんでもないわ。体育館、行くんでしょう?」
『うん。早く行こう』
夏未とは結構馬が合う様で、沢山話せた。話してみると、結構不器用な子だっていうのは分かった。でも、この人なら何とか出来ちゃいそうっていうオーラがある。
体育館に集まると、馴染めるように知らない人に三人話しかけるミッションだったり、クラス対抗の綱引きだったり、とっても楽しかった。なんか、私のクラスは運動系が強いみたいでこのレクリエーションでも成績は一番を叩き出した。
『やったね!夏未!』
「ええ。流石天才ゲームメーカーが居るだけあるわね」
『天才ゲームメーカー?』
「あら、知らないの?貴女と良く話している鬼道有人こそ、天才ゲームメーカーと言われている男よ」
『えっ...そうなの?』