第2章 Start! 〈綾織 星羅〉
「携帯、あるか?」
『えっ...?』
「遅くなりそうな日はまた送っていく」
『いいの?』
「ああ。だから連絡先を交換しないか?」
ちょっと頬が赤くなってる。
『ほっぺ赤いよ?熱?』
「い、いや。気にしないでくれ」
『あ、そうだ。連絡先、だったよね。ちょっと待ってね』
制服のポケットから携帯を取り出す。急いでラインを開いた。
『はい。これで大丈夫かな?』
「ああ。また明日な」
『うん!』
連絡先...初めて男の子と交換しちゃった。あ、ラインの一言コメント、サッカーボールだ。鬼道君らしいな。
急いで夕飯作らないと。その前にラインで鬼道君によろしくのコメント位送っても良いよね。
〈鬼道君、よろしくね!〉
あ、既読がついた。早いな。
〈ああ、宜しく。日曜日の件だが、試合は朝九時からだ。それまでに来てくれると嬉しい〉
〈わかった!ありがとう!また明日、学校お話しようね!〉
ちょっと大胆だったかな。でも鬼道君とお話するの楽しいな。
〈ああ。日曜日、待ってる〉
なんだろう、凄く、ドキドキする。前は男子に話しかけられて怖いとしか感じなかったのに。ああ、顔が熱い。どうしちゃったんだろう。
ーー翌日
今日は金曜日。次の日は週末だから皆ちょっと浮かれてるみたい。でも、私も浮かれてる一員なのです。だって日曜日に鬼道君の試合が見れるから。
「星羅。おーい。大丈夫?」
『ひぇっ!』
「ぼーっとしてたけど、大丈夫?」
『う、うん!』
「ま、いいや。今日は新入生歓迎会だっけ?何があるんだろうね?」
「大体は部活の紹介とかじゃないかな」
『私、かるた部入りたいな』
「星羅めっちゃ強いしね」
『そんな事ないよ』
「実際全国大会優勝してるもんね」
『二人が応援してくれたからだよ』
かるたは昔から好きでずっと練習してきた。暗記も得意だったから短期間で全ての句を覚えることができた。両親も大会で結果を残す度に褒めてくれた。
「さーて、それじゃあ早速見てみないとね」
「そうそう」
『え?え?』
「初日で仲良くなったっていう鬼道君!」
『ちょ、え⁉︎』
「あ!あれかー。凄いね。ドレッドヘアにゴーグルって」
「校則大丈夫なの?」
『そ、それはわからないけど...でも案外話しやすい人だよ』
教室の前で話していると予鈴が鳴った。結構早目に来たはずなのに時が過ぎるのは本当に速い。