第11章 Beat! 〈朝日奈 乃愛〉
あ、そういえば鋏を使えば繋がった鶴も折れた気がする。やってみるか。
『夕香ちゃん。鋏持ってる?』
「うん!持ってるよ!」
夕香ちゃんに鋏を借りて、切り込みを入れてちょちょいと折っちゃえば…。
「すごーい!鶴が繋がってる!」
「器用なんだな」
『小っちゃい頃はこれくらいしかやってなかったからね。地味に得意なんだ』
「ねえ、お姉ちゃん!これも折って!」
『良いよー!』
結構な難題だけど…まぁ出来なくはないかも。
「なんで折れるの⁉︎」
『お姉ちゃん、得意だから!』
「良いなぁ!」
『じゃあ、夕香ちゃんにはこれあげる』
実は一枚の折り紙で折れる羽つきハート。昔いっぱい折ってたんだよね。
「わぁ…これどうやって折ったの?」
『ナイショ』
「ええ、ずるーい!」
『また、お姉ちゃんと遊んでくれるなら良いよ』
「遊ぶ!遊ぶから教えて!」
『よーし、良いよ!此処をこう折ってね…』
折り紙もここまでにして、豪炎寺も入れて何か三人で遊べるような事ないかな…。
「そうだお姉ちゃん!双六やろうよ!」
『豪炎寺もほら!一緒に!』
これなら三人でできるね!人生ゲーム、懐かしいなぁ…。星羅達と中一の時に真剣勝負でやった気がする。結構バチバチの闘いだった。夕香ちゃんスタートで豪炎寺の次に私の順で回る。最初の方はお金貰えるけど、途中恐ろしいマスとかあるから、結構人生っぽくなってるんだよね。
「あ、お兄ちゃん借金!」
『金使いすぎだぞー!豪炎寺!』
「そうだそうだ!」
「くっ…」
『凄いね!夕香ちゃん。億万長者も夢じゃないよ!』
「やったー!」
豪炎寺、さっきから本当に金を搾り取られてるんだけど…。本当に大丈夫かな?
「やったー!一番!」
『二ばーん!』
「さ、三番…」
『というか、ビリだよね』
「しかも、お兄ちゃん借金してるよ?」
『うわぁ…ボロボロじゃん…』
一位は問答無用で夕香ちゃん。二位は平凡にゴールした私。ビリは金も毟り取られてボロボロでゴールした豪炎寺。豪炎寺面白いんだけど…!
『ぷっ…豪炎寺ウケる…!』
「お、おい!」
「お兄ちゃんダサい!」
結構、最後の言葉はグサッときたみたいだ。ドンマイ、豪炎寺。そういえば、そろそろお昼の時間だ。何か作れるなら作りたいんだけど…。
『豪炎寺、台所借りて良い?』
「ああ」
「お姉ちゃん、ご飯作ってくれるの?」